会議で孤立すると迷い犬のようになります


Photography by Luc Viatour


人という種から見た時間の流れは悠久ですが、私たちには限られた時間しかありません。しかしながら、それを忘れてしまう人たちがあまりにも多いのです


まったくもって、今日の会議も長かったのです。

ついこの間、お客先で会議時間の短縮化を狙って会議室から椅子を撤去したのですが、結局三時間立ちっぱなしでした。

それで何か決定や進展があったのかって、そんな野暮なことは聞かないでください。

そんな話はさて置き、今日は会議にまつわるお話です。

会議の本来の目的は「報告」と「合議」です。
そうでなければ、初期導入時のブレインストーミング(ファストローディング)や説明会などの読み合わせ、といったところが一般的でしょう。

  • 報告と合議
  • ブレインストーミング
  • 説明会などの読み合わせ

これらのうちで、ブレインストーミングと説明会は時間がかかることがあります。むしろ長い時間がかかることの方が一般的でしょう。これらは、発信者が持てる情報を一気にばら撒いたり、その情報を基に新たな価値創出を考えるための布石として開催するのです。
ブレインストーミングの場合は、さらにワーキンググループへ分化することが前提であるため、最初の一歩を踏み出す前に均質化を図る目的を暗に含んでいます。

それでは報告と合議に要する時間は、先の2つと同じように長いほうが良いのでしょうか。
答えは断じて「否」ですね。長くて良い訳がありません。
仔細な報告や連絡は、事前に出席者全員へ配布したうえで、何か問題や漏れがないことを見てもらった方が良いのです。

「こういった個別の対応をしたくないから、関係者全員を一ヶ所に集めて会議をするんだ」と考えている方がいたら、それこそ本末転倒です。今すぐにも、考えを改めるようお勧めします。

もし、事前に配布した資料を関係者全員が見て何も問題ないし欠損もない、とわかった瞬間にその会議は開催目的を失います。会議を開催する理由が消滅したのです。これで煩わしい“寄り合い”がひとつ減りました。
ただし、会議の目的に「合議」が必要な議案があったら、絶対に開催しなくてはなりません。当然、事前の内容配布も行ったうえで開催します。
合議を取るというのは、その場で全員の決を取り、何故賛成なのか、何故反対なのかを突き詰めることです。そこを疎かにしないように、全員を拘束して、一ヶ所でお互いの顔を対面で見ながら、決を取ったほうが良いのです。

合議を取るのは大変です。
ひとつの事案の合議をとるのも、関係者が多いとそれぞれに色々な思惑があるのでなかなか大変です。
その結果、次のような状況になってしまうこともあります。

部長「さっきの会議での発言、何で事前に俺に上げなかったんだ」

担当「はぁ、すいません」

部長「すいません、じゃあねえんだよ。せっかく幹部に根回ししてきたのに、お前の不用意な発言で全部パーになっちまったぞ」

担当「はぁ、てっきりご存知かと」

部長「お前なぁ、だから事前に確認しろって、いつも言ってるだろう」

という会話を上司とやらかした経験はありませんか。
それ以前に、上司すら敵に回していたりして…

同じ組織に属していても、立場やしがらみに囚われた人たちがいます。彼らを相手に合議を勝ち取るには、一筋縄ではゆきません。長い時間をかけて、合議を勝ち取るストーリーを練り上げる必要があります。
同じ目標を掲げながら、協働する人材を探している幹部が居るかも知れません。
逆にそれを通してしまうと、それまでやってきたことが、お蔵入りになってしまう幹部が居るかも知れません。
できる限り、社内に敵を作ってしまうことのないように段取りをきっちり立てて根回しをする、その集大成が会議の場で合議をとることであると言っても過言ではありません。

会議では、報告の際に必ずといっていい程、事前に提示した資料を見てこない人がいます。いわゆる“接待を受ける側”にいる人、といえば想像できるでしょうか。あとは、時間の使い方を知らずにいつも忙しそうにしている先輩社員といったところです。

さて、事前に仔細を書き綴った資料を配布しているわけですが、会議の場ではサマリーレベルに圧縮したものを使いましょう。サマリーを作るときのポイントは、次のようになります。

  • 一目で分かるように
  • すべてを通して読み込んでも5~10分程度で読み込める構成に
  • 必要最低限の内容を必要最低限の文節で

会議の場では、資料を読んで来なかった人に向かって「事前に配布した資料を何故読んで来なかったのか」などと糾弾してはいけません。彼らは非常に自尊心が強く、人から非難されることに慣れていません。
彼らの自尊心を傷つけてしまわないための配慮が、サマリーを読み込んでもらい、その場で分かってもらう(分かった気になってもらう)ことです。
始めのうちは、資料を作ったり段取りを考えたりと、大変かもしれませんが、段取りと資料が決まってゆくにつれて、実に単純に素早く対応が可能になるでしょう。
このような取り組み方で、会議の時間を半分、もしかしたらそれ以上短縮できたら、もっと生産的な活動に貴重な時間を割り当てることができるようになりますね。

結局、会議に参加する全員が会議の場で情報を得るという、あまりに非効率なやり方を変えるのが一番の施策なんですが、これは一朝一夕でどうにかなるものではありません。
というわけで、これはまた別のお話。


※この作品はフィクションであり、 実在の人物・団体・事件などとは一切関係ありません


Written by Interlude.

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